研究開発課題等を研究者に募り、提案された課題の中から、予算配分を行う機関がふさわしい研究を選んで研究費を与えるタイプの研究予算。専門家を含む関係者による評価が行われることで、必要性やレベルの高い研究が選択されることを目指している。近年では、事前の審査だけではなく、中間および事後の評価がなされるものが増えた。大学を事例にすると、研究者各人にほぼ無条件で与えられる非競争的な研究費(基盤的経費の一部)と、科研費(科学研究費補助金)のような競争的資金の双方を用いて研究が遂行されている。文部科学省の場合、2014年度の当初予算では、科学技術研究予算の約11%(4160億円程度、うち科研費約2300億円)が競争的資金に充てられていた。大学に与えられる基盤的経費が削減されている現在、競争的資金を得ることは、研究を進めるために不可欠になってきている。だが、競争的資金に過度に依存すると、成果の得やすい安易な研究が増える危険性があるし、研究倫理上の問題を引き起こすこともある。また、限られた特定の個人に研究予算が集中する傾向も指摘されており、「府省共通研究開発管理システム(e-Rad)」により、その回避が試みられている。競争的資金の中には、「博士課程教育リーディングプログラム」の予算のように、大学の教育制度等の革新を政策的に誘導するためのものもある。なお、通常の競争的資金を得にくい研究について、クラウド・ファンディングを通じて資金を支援するアカデミスト(adcademist)という株式会社が2013年に設立された。注目される新しい動きである。