従来の科学技術政策が、十分なエビデンス(客観的な証拠)に基づかず、思いつきによってなされてきたのではないかという反省を踏まえて、2011年に文部科学省が開始したプログラム。アメリカのSciSIP(Science of Science and Innovation Policy)なども参考にしながら、調査、研究の実施、人材育成の拠点(政策研究大学院大学、東京大学、一橋大学、大阪大学・京都大学、九州大学)の形成が進められている。合理的な政策の展開には、当然ながら客観的な指標データの整備が不可欠である。だが、科学技術発展の数量的指標化やイノベーション政策のインパクトの数量的な計測などに重点が置かれる傾向が強く、「客観的な証拠」というコンセプト自体に難が生じているように思われる。どのような数量を重要なものとして計測するかに、主観が入る恐れがあるからである。1960年代以来の同様の取り組みへの歴史的反省が求められよう。