映画「博士の愛した数式」で博士が黒板に次の式を書くシーンがあった。
これは、220と284のそれぞれの約数(自分自身を除く)を並べて、それぞれを加えると、お互いの数になることを示したのである。
このように、それ自身を除く約数の和が相手の数になるものの組を友愛数という。ピタゴラスが、「友人とはもう一人の私である。ちょうど220と284のように」と述べたと言われており、その頃から(220, 284)が友愛数で特別な組と認識されていた。その他の友愛数の発見は時間がかかり、17世紀の半ばにP.フェルマーが(17296, 18416)を、すぐ後にデカルトが(9363584, 9437056)を見つけた。18世紀になるとL.オイラーが一般式を用いて60組見つけた。ところが、2番目に小さい友愛数の組(1184, 1210)は、19世紀後半に、何と16歳のN.パガニーニによって発見されている。整数論はまさに大数学者とアマチュアが対等に戦える場でもある。現在では、コンピューターで調べつくされて、このようなロマンがなくなったのは残念である。
友愛数は、無限にあると考えられているが、その証明はされていない。