一定の放送区域内において、特定の番組をどれだけの世帯が視聴したのかを推計したもので、統計の理論の応用の一つ(→「統計学」)。このような調査は、サンプルが大きいほど正確な推定ができる。
たとえば、関東地域600人のサンプルで視聴率30%の場合、以下の式の標本の大きさnに人数の600を、r/nに30%=0.3を代入する。
すると、真の視聴率は、
より大きく、
より小さい範囲にあることになる。
つまり、推定の理論により、「95%の確率で、真の視聴率は26.3%と23.7%の間にあると推定できる」という結論になる。以前、紅白の視聴率が50.8%から48.4%になったとき、「紅白の視聴率が50%を割り込んだ」とスポーツ紙のトップ記事になったことがあった。これだけの幅をとっても、5%はずれるのであるから、「視聴率が数%落ちた」というのは意味がない。調査の視聴率が50%だと、真の視聴率の範囲はさらに広がり、46~54%の間にあることになる。つまり、視聴率調査の48%の視聴率と50%の視聴率は重なる部分が多く、ほぼ同じと考えてよい。ビデオリサーチ社のホームページには、誤差の範囲も明示して注意しているが、この誤差を考慮しない人の多いことが視聴率の最大の問題といえる。