経済活動では、協力者・敵対者の駆け引きがつきものである。だから社会科学では、駆け引きの科学的分析が必要だった。
ハンガリーのJ.フォン・ノイマンは、論文「ゲームの理論について」で、ゲームでの競技者の駆け引き、戦略、利益分配などの行動に関する理論を述べた。例えば、競技者が最も損害が少なくするように行動するとの仮定が、ミニマックス原理(minimax principle)である。この原理のもと、ノイマンはある種の条件で最適戦略の存在を示した。これがミニマックス定理(minimax theorem)であり、証明に角谷静夫の不動点定理(Kakutani's fixed point theorem)が本質的な役割を果たした。経済活動を一種のゲームと見立てれば、この理論はさまざまな場面で応用可能となる。特に、厚生経済学、線形計画法などに用いられる。