統計をとる際に生じる、その標本となるデータ採取の偏向や間違い。統計結果を読むときに決定的な誤差を生じるため、注意したい。サンプルの偏りや、それにもとづく誤った判断は、日常的にも多々見てとれる。
たとえば、TIMSS(Trends in International Mathematics and Science Study 国際数学・理科教育動向調査)2007にあるデータの中で、表「数学の得点の男女差に有意差がある国」を例にとる。日本では、数学が得意なのは、女子よりも男子のほうだが、有意差があるほどではない。だが、それが逆転する国の上位に「男性優位」の傾向が強いアラブ諸国が並んでいる。この調査にかかわった国立教育政策研究所の瀬沼花子氏は、「日本では、中学校は義務教育で男女全員が通うことになるが、アラブ諸国では、女子で通うことができるのは進んだ(裕福な)家庭だけだからではないか」と分析している。