「四つ組」についての問題を考えるとき、有名なS.A.ラマヌジャンの逸話がある。サイエンティフィック・アメリカン編『現代数学の世界(4) 数学者の世界』(遠山啓監訳 講談社 1970年)のJ.R.ニューマン執筆による「ラマヌジャン」の章によれば、1918年2月ごろ、ラマヌジャンは療養所に入っており、見舞いに来たG.H.ハーディは次のようなことを言った。
「わたしの乗ったタクシーのナンバーはNo.1729で、これは、何の特徴もないつまらぬ数に思え、不吉な数でなければよいが」
これを聞いたラマヌジャンは、すぐさま次のように言った。
「いや違う、これは大変おもしろい数です。これは2個の立法数(3乗)の和に2通りに表わされる最小の数ですよ」
実際、1729=123+13=103+ 93で、1729が「a3+b3=c3+d3」という形で表すことのできる最小の数であることを、ラマヌジャンは即座に指摘したのである。
現在、a3+b3=c3+d3と表される数や、ときにはこの四つ組(a,b,c,d)をタクシー数という。
このあと、「4乗でも同じような例があるか」とハーディが質問すると、ラマヌジャンは少し考えた後「あると思うが、大きすぎて分からない」と答えたという。実際、かなり大きい数でこのような数は存在した。
1344 + 1334= 1584 + 594(=635,318,657)