三次元の空間の中では実現しない図形。金属でできた同じ半径の輪では三輪違いを作ることはできないし、クラインの壺も実現しない。
不可能図形の有名なものに、イギリスのR.ペンローズが考案し、トリックアートでもおなじみのペンローズの三角形(ペンローズ三角形ともいう Penrose triangle)がある(図「ペンローズの三角形」参照)。これは確かに不可能図形ではあるが、遠近法を少しゆがめることで、ある一定の場所から見たときに限り、ペンローズ三角形が存在するように見せかけることは可能となる。
また、このような不思議な図形はオランダの画家・M.C.エッシャーの絵にたびたび現れてきた(余談だが、ペンローズとエッシャーは互いに刺激し合ったという)。
ペンローズの三角形のような不思議な絵は、画家の安野光雅氏がたくさん発表しており、図「ペンローズの三角形」の右の絵は、それらに触発されて、筆者が作ったものである。