複数の図形を使って平面を隙間なく埋めつくすこと。三角形と四角形はどんな形でも、1種類で平面を埋めつくすことができる。だから、数種類の形を使った繰り返し模様で平面を埋めつくすのは、難しくはない。しかし、その図形に「天使と悪魔」というような複雑なモチーフを込めて平面を埋めつくすとなると簡単ではない。意味をもつ複雑な形の絵柄が輪郭線を共有しながら繰り返し隣接していくパターンを成立させるためには、芸術的な直感と数学的な視点の両立が必要となるのだ。その点、オランダの画家M.C.エッシャーは天才で、不思議な図形を数々考案してきた中で、平面充填の作品も数多い。現代の日本でも、科学教育プロデューサーの岡田晃次氏は、エッシャーにひけをとらない平面充填の芸術作品を数々作成している(図「平面を埋めつくす図形」参照)。