統計学者にはすでに知られていたらしいが、1951年にE.H.シンプソンによって提起された医学統計的な例によって、その名がついている統計のパラドックス(pardox of statistics)。二つの薬A、Bの効果を調べるために、症状の異なるI群とII群に分けて効果を確かめ、効果のあった患者の数を表「シンプソンのパラドックス」のようにまとめた。この表で見ると、たいして違いがないがI群、II群ともに、Bの薬のほうが効果があるように思われる。ところが、I群とII群を総合すると、ともに100人ずつとなり、Aの薬は36%に効果があり、Bの薬は35%に効果があるので、全体ではAのほうが効果が高いことになる。つまり、I群、II群を部分部分でみたときには、どちらもBの薬のほうが効果が高いのに、I群、II群を総合して全体でみたときにはAの薬のほうが効果が高いという奇妙なことが起こるのである。