大きい写真の上に、そのネガをはみ出さないように置くと、対応する点で重なるものが必ず存在する。それを不動点という。写真の点xに対してネガの対応点をf(x)としたとき、この点はf(a)=aとなる点aである。
この点が存在することは、次のことで確かめられる。図「不動点」のように、同じ割合でBをさらに縮小したCを、A-Bと同じ位置関係でBにおき、さらにCを縮小して、……と続けていくと、図は1点に縮まっていき、その点が不動点になる。
L.E.J.ブロウエルは「多角形を多角形の内部へ連続に移した関数に必ず不動点がある」という不動点定理(fixed point theorem)を示した。この不動点定理はさまざまな形に拡張され、微分方程式の解や経済の均衡解の存在定理などに用いられる。