プラスの電荷をもつイオンとマイナスの電荷をもつ電子から成る集合体は、プラズマと呼ばれる。液体や固体はもとより、通常の気体とも大きく性質が異なるプラズマ状態は、第四の物質状態とみなされることもある。じっさい、プラズマでは電子やイオンが電磁力によって互いに遠方まで力を及ぼしあうために、通常の流体ではみられない集団運動 (collective motion)が現れ、その理論的解明は久しく物理学の重要課題であり続けている。通常の流体が流体力学方程式によって扱われるのに対して、プラズマは電磁流体力学 (magnetohydrodynamics)と呼ばれる理論によって扱われる。プラズマの身近な例としては、点灯した蛍光灯の内部や雷によって生じる放電気体がある。太陽の内部は、超高温プラズマ状態になっており、核融合 (fusion)の反応が進行している。これを地上に実現して無尽蔵のエネルギー源を獲得しようとするのが核融合炉計画である。プラズマ核融合の実現には数々の困難があるが、これは高温高密度のプラズマの動的振る舞いが非常に不安定であるためにその制御がたいへん難しいためである。