nm(ナノメートル nは10-9=10億分の1)オーダーの制御や加工を果たすナノテクノロジーによってつくりだされる、太さが1~100nmで、長さが太さの100倍以上となるきわめて細い繊維。表面や内部にナノ構造をもつ繊維も含まれる。異論もあるが、この定義によると、カーボンナノチューブもナノファイバーの一種となる。ナノファイバーは、同じ量の通常の繊維に比べて表面積が数千倍大きく、吸着能力がその分だけ高く、優れたフィルターとなるため、1980年代にアメリカで戦車の砂塵(さじん)よけフィルターとして軍事用に開発された。ナノファイバーはナイロンやポリプロピレンなどを特殊技術で加工することで得られるが、セルロースのような天然繊維を加工してナノファイバーにする技術もある。生活レベルでの実用化は、皮膚の汚れを落とす洗顔クロスが代表例であり、抗菌性があるとの報告もある。近年、次世代素材として注目を集めており、日本でも2006年にはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)プロジェクト「先端機能発現型新構造繊維部材基盤技術の開発」が5年計画で立ち上げられ、09年6月には東京で「国際ナノファイバーシンポジウム」が開催されるなど、活発な研究が進められている。