医療、環境、製品管理など多くの分野で、安価で取り扱いの容易なセンサーに対する需要は大きい。尿試験検査紙はその成功例といえるが、試験紙を検体に浸す検査法(dip & read)には、例えば試薬が検液へ流出してしまうことによる感度の低下など、色々問題もある。ハーバード大学で開発された紙ベースのマイクロ流体デバイスμPADs(microfluidic paper-based analytical devices)は、紙の基板上で高度な化学的・生化学的分析を、安価、簡便、迅速に行いうるだけではなく、廃棄、輸送も容易な技術として最近注目を集めている。慶応義塾大学で開発されつつあるμPADsは、紙面にインクジェットプリンターで種々の薬品を印刷した疎水性の十字形流路からなる。三つの端に例えばpH(水素イオン濃度指数)、グルコース、たんぱく質の検査試薬を印刷すれば、簡便な尿検査チップができる。