いくつかの人工核酸類似化合物は医薬などに応用されているが、2012年初め、「DNAやRNAは生命の機能に絶対的な役割を果たすわけではない」と、これまでの常識を覆す発言をしたのはイギリス医学研究機構分子生物学研究所(MRC, LMB ; Medical Research Council, Laboratory of Molecular Biology)のP.ホリガー博士とそのグループである。彼らによると、DNAのリボフラノース環を別の環式化合物で置き換えた6種の高分子は、らせん構造をもち、DNAのように塩基対をつくり、同様に情報を蓄積・複製できる。その一つを自然に近い条件下においたところ、特定の標的と特異的に結合しながら進化に似た過程を再現した。彼らはこれらの高分子に、ギリシャ語の「奇妙な」「なじみにくいもの」を意味するxenonを前つづりにしたxeno-nucleic acid(XNA)という名を提案した。彼らは酵素の助けを借りて、遺伝情報を直接DNAからXNAに移す研究を進めている。