数nm(ナノメートル:10-9m)から数μm(マイクロメートル:10-6m)の微粒子(コロイド粒子 colloidal particle)が、気体、液体、あるいは固体といった分散媒に分散している状態のこと。煙や排気ガスなどが原因で発生するスモッグ(smog)は、炭素などの微粒子が空気に分散したコロイドで、エアロゾル(aerosol)である。
塩化鉄(III)の水溶液を沸騰水に注ぐと、加水分解されて赤色の水酸化鉄(III)(Fe(OH)3)のコロイドができる。これをセロハンなどの半透膜で透析(dialysis)して、不要なイオンを取り除き、コロイドを精製する。このコロイド溶液をガラス管に入れ、両端に電場をかけると、コロイドは負電極の方に移動するので、水酸化鉄(III)のコロイドが正の電荷を帯びていることが分かる。このコロイド粒子は、周りに負電荷のイオンが来ることで電気二重層を形成し、機構は少し複雑ではあるが、結果として、粒子間に電気反発を生じるため、コロイド粒子は沈殿しない。このコロイドに塩化ナトリウム(NaCl)などの電解質を加えると、コロイドの表面の電荷が中和されて反発力が減少し、沈殿する。これを凝析(flocculation ; coagulation)という。ゼラチンのコロイド粒子は水となじむ親水基をもっているので、周りの水と水和していて、少量の電解質を加えても水酸化鉄(III)のようには沈殿しないが、電解質を多量に加えると沈殿し、これを塩析(curing salting ; salting out)という。ゼラチンのようなコロイドを親水コロイド(hydrophile colloid)水酸化鉄(III)などのコロイドを疎水コロイド(hydrophobic colloid)という。