核酸の中で、糖の部分がデオキシリボースのものをいい、塩基はふつう、アデニン(A, adenine)、グアニン(G, guanine)、シトシン(C, cytosine)、チミン(T, thymine)の4種類である。遺伝子の本体とされる物質で、その分子構造の中に遺伝的形質を支配する情報が含まれている。糖とリン酸が交互に多数結びついて長いらせん状の鎖になり、2本の鎖が塩基で結びついた二重らせん構造をとる。塩基の結合は、AはTと、GはCと水素結合で結びつく。このDNAの分子構造は、特別なウイルスなどを除けば、細胞をもつすべての生物に共通する。DNA分子の幅は2nmだが、長さは生物の種によりさまざまで、ヒトの一つの細胞には約1.8mの長さのDNAが含まれている。DNA分子の中の塩基の配列順序は種や個体によって異なり、それが個体のもつ遺伝情報となる。真核生物の細胞内では、大部分のDNAはヒストン(histone)というたんぱく質と結合した形(核たんぱく質)で、核内に存在する。