たんぱく質がその立体構造を形成するため、未熟なたんぱく質分子に一時的に結合し、正しく折りたたむように働き、立体構造の完成後に離れてしまうたんぱく質。シャペロンの一例が熱ショックたんぱく質( heat shock protein )である。これは細胞が正常な生理的温度より5~10℃高い熱ショックにさらされたとき、合成が誘導される一群のたんぱく質で、細胞がストレスに応答してつくる代表的な物質である。細菌、植物、動物の細胞で共通して見られ、高温などのストレスにより細胞内のたんぱく質が変性を起こした際、それらを除去する働きなども行う。分子量は9万、7万、6万などで、英語表記の頭文字HSPの後ろに千の単位の数字を付け、HSP90、HSP70、HSP60などと表記される。熱ショックたんぱく質は高温だけでなく、重金属、エタノールなどの薬剤、酸素欠乏などのストレスに対しても合成が誘導される。