第二次世界大戦後(1946年)に登場してきた文学者たちを、第一次戦後派、第二次戦後派などと呼んだ。第一次には、野間宏、武田泰淳、椎名麟三、梅崎春生、埴谷雄高、堀田善衛などの作家が挙げられ、第二次には大岡昇平、三島由紀夫、安部公房などが挙げられる。
評論の分野では「近代文学」の同人、平野謙、本多秋五、荒正人、小田切秀雄などが戦後派と目される。詩では鮎川信夫、田村隆一などの荒地派が戦後派の作家たちと同伴している。その文学的な特徴としては、政治と文学の関係に強い関心を持ち、世界的な現代文学の思想的、理論的な動向にも敏感で、また何よりも戦争の廃墟と虚無感、そして敗戦後の日本の現実社会に生きている人々の現場性を重んじていたといえよう。