日本独自と思われる文芸評論の形式。新聞、雑誌などに一定期間(月刊、季刊が多い)の間に発表された文学作品を、共時的に批評するもので、明治時代からすでに始まっている。現在、朝日、読売、毎日などの全国紙、中日(東京)、産経、共同通信などで、1カ月単位の文学作品について「時評」が行われている。「群像」で長く続いている「創作合評」も、時評の一種である。小説のみならず、詩時評、短歌俳句時評、エンターテインメント時評など、各ジャンルの時評として細分化されることもある。『日本文芸時評大系』が刊行開始となり、産経新聞での12年間にわたる時評をまとめた荒川洋治『文芸時評という感想』が刊行された。また、明治以来の文芸時評を追究した吉岡栄一の『文芸時評』も出た。