本来はサイエンスフィクション、あるいはスペースファンタジーの略称だが、日本では小松左京や光瀬龍のようなスペース・オペラ的な本格的なSF小説より、‘変’格的な不思議な小説のジャンルを指す場合のほうが多い。
星新一や筒井康隆などの作品は、狭義のSFという範疇(はんちゅう)には入らないもので、日本で独自の発展を遂げたものといえるかもしれない。2006年に『LOVE』で三島由紀夫賞を受賞した古川日出男が、それに先立つ02年には『アラビアの夜の種族』で日本SF大賞と日本推理作家協会賞の両方を受賞しているように、日本ではSFとミステリーと純文学の分野で、絶対的な区分はないものと考えられる。これまでのジャンルに簡単には分類できないような作家(筒井康隆、古川日出男のような)が登場すれば、それをとりあえずSF作家として分類しておくという安易な姿勢が感じられる。