昔から詩歌の結社誌や同人誌で作品を書いてきた作者による自費出版ということはあったが、自費出版を専門的に取り扱う出版社の業績が急伸した。原稿の書き方から、推敲、校正、製作、さらに宣伝や書店での委託販売に至るまで専門的なスタッフが世話をするという形の、自費出版が盛んになった。文芸社、新風舎などは、出版点数や広告出稿量において既存の大手出版社に迫る勢いだった。内容によっては製作費を著者側と出版社側が分担する協力出版という形もあり、自費出版と、一般的な企画出版との境界があいまいとなっている。本を買って読む人よりも、書いて出す人のほうが多いという現象が、冗談ではなくなっている。しかし、最大手の新風舎が著者との契約をめぐるトラブルによって訴えられるなどで、資金繰りが難しくなって倒産するなど、業界のなかでは逆風が目立っている。