広津柳浪・広津和郎・広津桃子や、幸田露伴・幸田文・青木玉のような親子三代、あるいは吉行エイスケ・吉行淳之介(兄)・吉行理恵(妹)のように親子二代と兄妹というような文学者の家系がある。
斎藤茂吉と北杜夫、太宰治と津島佑子、青野季吉と青野聰、吉本隆明とよしもとばなな、大岡信と大岡玲の親子の例などはつとに知られているが、最近の例では、江國香織は、エッセイストの江國滋の娘、金原ひとみは、英文学者で評論家の金原瑞人の娘、2006年上半期の直木賞を受賞した三浦しをんは、『古事記』の現代語訳で知られる古典文学者・三浦佑之の娘である。中上健次の妻は小説家の紀和鏡だが、この二人を両親に持つ中上紀も、気鋭の作家として活躍中だ。
あまり知られていないところでは、ミステリー作家・折原一は中島敦の妹の息子、つまり中島敦の甥であり、妻はやはりミステリー作家の新津きよみである。歴史小説を書いている塚本青史は、歌人の塚本邦雄の息子、作家で俳優の大鶴義丹は、唐十郎と李麗仙(離婚)の一人息子である。