すべての文芸作品には、著作権がある。著作権には知的財産としての著作権と著作人格権があり、著作物を刊行したり、公表、公刊して原稿料や印税を受け取ることができるのは、著作権が一種の財産であるからだ。
著作人格権とは、著作物をみだりに改変したり、著作者の名前をかたったりすることを禁ずるもので、他人が勝手に著作物をいじることは許されない。著作権は、その著作者の死後50年間は保護され、個人の財産として相続される。欧米の先進国では著作権の保護は死後70年というところが多く、日本でも70年に延長する提案が著作権管理団体から出されている。
著作権保護の例外は引用で、公刊、公表された著作物は引用することができる。ただ、適切な長さであることや、引用があくまでも従であり、引用であることが明示されること、著作者の明示などが条件となっている。引用は適切に行われることが条件だが、確定的で固定的な引用の定義や規定はなく、正当な引用と、無断引用、剽窃(ひょうせつ)、盗作との線引きは必ずしも容易ではない。最近はインターネットによる文章、図画、写真などの取り込みが簡単に行えるため、無意識的に著作権法に触れる場合も多いと思われる。特に音楽著作権、映像・映画の著作権については、ネット社会の進展とともに深刻な問題として浮かび上がっている。文芸著作権と音楽著作権は、本来は同じ著作権法によって保護されているが、音楽著作権は、プロダクションなどに委託したり、権利の売買などが行われ、2008年には音楽家・小室哲哉の著作権詐欺事件が話題となった。