2006年3月に東京、神戸、札幌で、村上春樹の作品を翻訳している各国の翻訳者が集まって国際シンポジウムとワークショップが開かれた。参加した翻訳者の国別・地域別はアメリカ、フランス、ドイツ、中国、韓国から始まって、ブラジル、チェコ、インドネシア、ベトナムなど16カ国に及んだ。村上春樹作品の国際性を示していると同時に、アニメ、マンガなど日本文化の国際的進出の状況も物語っているといえよう。各国語別に、村上作品が受容される背景や環境はそれぞれ少しずつ違うが、村上作品がグローバル化した社会(世界)のなかでの、一種の共通感情として受けとめられていることがわかる。
フランツ・カフカ賞は、チェコのプラハ出身の作家フランツ・カフカ(1883~1924)にちなんで制定された文学賞であるが、2006年度の同賞は村上春樹に授与された。