モーリス・センダックの名作絵本。そこに表現されたモンスターたちは、迫真的であり、子供向けとして手を抜いたようなものではない。一人の少年がかいじゅう(モンスターといったほうがよい)の住む島に迷い込むという話である。スパイク・ジョーンズによるハリウッド映画化(2009年、日本公開は10年1月)で、この古典的絵本が再注目された。従来なら、アニメとしてしか映像化できなかったであろうファンタジックな児童文学が実写映画化されるようになったのは、特殊撮影技術やCGの発達によるものだろう。原作の後日談という設定だが、実写版の「アリス・イン・ワンダーランド」(10年、ティム・バートン監督)も、そうした作品の一つといえよう。