集英社が創業85周年記念企画と銘打った戦争文学の全集。全20巻で、別巻1が予定されている。時代と地域、テーマの三部構成で、日清日露からベトナム、湾岸、9.11テロまでも含む「時代」編(近代編/現代編)、朝鮮、台湾、満州などの「地域」編、幻想や未来戦などの「テーマ」編の計4ジャンルが配置されている。編集委員は、浅田次郎、奥泉光、川村湊、高橋敏夫、成田龍一の5人で、北上次郎が編集協力した。戦後生まれの世代の文学者が編んだ戦争文学全集として期待されている。2011年6月に刊行開始。第1回配本は、第8巻「アジア太平洋戦争」と第19巻「ヒロシマ・ナガサキ」の2巻。刊行を記念して、広島、長崎、東京、大阪でそれぞれ記念の立花隆による講演会、編集委員による対談、シンポジウムが盛況のうちに行われた。これと連動して、戦争文学を読み返す機運が起こり、湾岸戦争や9.11以降、文学は「新しい形の戦争」をどうとらえてきたかを問う陣野俊史の「戦争へ、文学へ 『その後』の戦争小説論」などが刊行された。