戯曲、小説に大きな足跡を残した井上ひさしが、2010年4月9日に死去した。浅草のストリップ小屋の台本、NHKのテレビ人形劇「ひょっこりひょうたん島」などのシナリオを書いて作家としてスタートし、小説では1972年に「手鎖心中」で直木賞を受賞した。演劇では、自ら座主であり、座付き作者でもあった「こまつ座」に多くの戯曲を提供し、上演した。ただし、その執筆の遅いことから、遅筆堂の異名もあり、しばしば芝居の初演を遅らせたことでも有名。日本ペンクラブの会長として、社会的に行動する文学者としても知られた。代表作に「吉里吉里人」(小説)、「父と暮せば」(戯曲)などがある。04年文化功労者受賞。