60年安保闘争、70年全共闘運動などの学生・市民運動のなかでカリスマ的支持を受けていた思想家・詩人の吉本隆明が、2012年3月16日死去した。享年87。反日共系全学連の思想的指導者として、転向論、マルクス論、政治情況論を書いた彼は、一方では文学原理論として「言語にとって美とは何か」を完成させ、さらに人間の社会がどのように成り立っているかを「共同幻想論」によって解明しようとした。それと同時に、文学評論、宗教論も旺盛に執筆、「源実朝」「最後の親鸞」「源氏物語論」などが残されている。「大衆の原像」「関係の絶対性」「共同幻想」など、吉本の著作から発して思想的流行語となった言葉も多い。小説家・よしもとばななは、次女。