本格的な長編小説と、軽妙なエッセイ、そして書評文化の振興に大いに活躍した丸谷才一が、2012年10月13日、死去した。享年87。1968年「年の残り」で芥川賞受賞。以後も「たつた一人の反乱」「裏声で歌へ君が代」「女ざかり」「輝く日の宮」などの長編小説を数年ごとに出版して、そのつど話題になったほか、「週刊朝日」「毎日新聞」などで書評欄の充実と振興を図った。英文学の研究者・翻訳者としても活躍し、ジェームス・ジョイスの「ユリシーズ」など、定番となっている訳書も多い。上記長編小説のほか、「横しぐれ」「樹影譚」「忠臣蔵とは何か」などが代表作として知られる。「花柳小説傑作選」など、アンソロジストとしての評価も高く、また、旧仮名遣い、旧漢字の使用者としても知られた。