明治初期に起こった、書き言葉(文)を話し言葉(言)に近づけようとする文体改良の運動。主に小説家や評論家ら実作者により、言文一致体、口語体という文体が工夫された。江戸落語中興の祖・三遊亭圓朝(円朝)の速記本の文体や、式亭三馬などの江戸期から続く戯作の会話体などが参照され、「です・ます」調の生みの親・山田美妙を先駆者として、二葉亭四迷の「浮雲」、尾崎紅葉の「多情多恨」などが近代的な文体、文章を練り上げていった。元々書き言葉と話し言葉が基本的に一致することなどなく、口語体という文体が新たに創造されたのである。現代における橋本治の「桃尻娘」シリーズや、宇能鴻一郎の一人称官能小説などは、ネオ言文一致体と称すべきものかもしれない。