保護者がその監護する18歳未満の児童に対し、(1)身体的虐待(外傷をもたらす暴行など)、(2)性的虐待(わいせつ行為の強制など)、(3)ネグレクト(心身の正常な発達を妨げるような著しい減食または長時間の放置など、保護者としての養育行為を著しく怠ること)、(4)心理的虐待(著しい心理的外傷を与える言動を行うこと)。2000年11月に「児童虐待の防止等に関する法律」が施行されてから、児童相談所から家庭裁判所に親と子の分離を要求する申し立て件数が飛躍的に増加し、全国の児童相談所で対応した06年度の児童虐待の相談件数が3万7343件と過去最高を記録した。乳幼児を中心に死亡に至る痛ましい事件も報告されているし、里親委託や施設入所児童数も増加している。このような深刻な状況を受け、保健所、児童相談所、医療機関、警察、家庭裁判所の連携による虐待の早期発見と迅速な対処がいっそう必要とされている。警察庁は虐待の早期発見のマニュアルを作成し、不自然な外傷や、夜遅くまで外で徘徊する、衣服や入浴の世話を受けていない、攻撃的な行動をとる、無表情であるなどの子どもの兆候に注意を促すよう呼びかけている。虐待の家族病理からの回復には、親子分離後の子の受け入れ・自立支援と親の育児支援、里親の支援が必要となる。