正確さを実証するデータがないにもかかわらず、人々の間に伝播(でんぱ)する陳述のこと。ある流言の広がり方は、集団成員にとってそのことがもたらす重要性とその情報のあいまい性に比例する。最近の例としては、2005年8月、イラク・バグダッド北部で、イスラム教シーア派の第7代指導者の命日に集まっていた巡礼者の間に「自爆テロが起こる」という流言がまたたく間に広がり、パニックとなった。巡礼者はいっせいに逃げだそうと橋に押し寄せ、水死、圧死で約800人以上が命を落とした。これまでにもシーア派の行事をねらった自爆テロがあった事実に加え、この日の朝、迫撃砲攻撃があったことから、いっそうシーア派民衆の不安が高まり、流言を助長したのではないかと分析されている。