3万人を超える自殺者、12万人を超える不登校児童、推定10万とも100万ともいわれる引きこもり青年など、現代日本において、心の病気の理解と支援を行う臨床心理学( clinical psychology )に対する社会的要請は高まる一方である。あらゆる身体疾患と同様に精神疾患についても、発症する前の予防的試みが重要である。その代表的なものがセルフケアの概念で、自分の状態の変化を察知し自分でコントロールする、他者からの支援を求める、環境を変化させるなど、しかるべき対処ができることも重要なセルフケアの能力である。病気を未然に防ぎ、生き生きと心身を活性化させ、主体的に生きるためには、健康心理学( health psychology )の考え方が今後重要になるものと思われる。