職業、家庭などで何らかの目的を達成して充実した期間となりうる半面、自分の半生を振り返り、いまだ達成できていないことや、力を注いでこなかった課題に直面しやすい中年期に体験する心の危機のこと。中年期は、社会的に成功し経済的に豊かにもなる一方、社会的役割の重圧や変化が起こる。また家族の中で中心的な役割を担う一方で、子育てや親の介護などの悩みを背負う。子どもの親離れ、加えて体力の衰えなどの変化を経験しやすい。精神分析学者のユング(C.G.Jung 1875~1961)は、この中年期の変化を「人生の正午」と表現した。老年期へ移行するための準備期間として心理学的に重要な意味を持つと考えられている。