森田正馬(もりたまさたけ 1874~1938)が創始した、心理社会的ストレスに起因する各種精神症状を示す患者を治療する日本独自の心理療法のひとつ。苦しみのもととなる「生への欲望」をいったん手放すことから、社会的機能の回復を目指す。第1期(絶対臥褥〈がじょく〉期)では、1週間、食事以外は意図的に安静状態に横になって過ごさせ、孤独な状態で自己内省を促す。第2期(軽作業期)は、数日程度病院内の作業をさせる。第3期(重作業期)は、数週間程度の屋外の作業をさせる。第4期(生活訓練期)は、数週間、学校や職場に通いながら社会復帰の準備を行う。心理療法の分野でも治療的エビデンスを重要視する流れがあるが、症状は消去すべき対象であるという考え方に対して、「症状も含めて『あるがまま』を受け入れる」という東洋的考え方が近年再評価されている。