六法全書、法律文書、司法手続きなどで使われることば。法律用語(legalese)は、一般市民の使うことばとはかけはなれており難解極まりない。これでは市民の権利を守り、生活を安定させるはずの法律が、市民から遠ざかることになる。近づく裁判員制度の導入にあたっても問題となろう。そこで、最高裁は司法を市民に近づけるために、簡潔でわかりやすい判決文を作成する工夫を始めている。例えば、「未必の故意」は「死んでもかまわないとの思い」、「被告人にとって酌むべき事情」は「被告人にとって刑を軽くする方向で考慮すべき事情」のように言い換える試案が示された。また、判決文の構造にも改革が求められる。従来は、長い説明の最後に結論を述べるやり方であったが、適切に個条書きするといった方法も検討されている。日常用語と法律用語の対照的研究を主題にした法言語学(legal linguistics)の活躍が待たれる。