人間の言語能力を人間の認知能力と関連づけて考える言語研究の方法。従来の言語学では、言語は独立的・自律的な体系と考えられてきたが、ここでは言語の仕組みは認知の経験によって形成されるとみる。例えば、過去の、具体的な経験を基礎にして、新しい、抽象的な経験を理解しようとする操作によってモノの名前などは成立することが多い。また、部分で全体を理解しようとする。「窓から顔を出す」ことが可能なのは、「顔」で「頭」を表しているからである。逆に、「彼は切れる」のように、全体(彼)で部分(頭)を表現することもある。これらは、メタファー(隠喩)とかメトニミー(換喩)と呼ばれる語法である。人間の認知の構造は言語のなかに、その表現に適した装置を発達させたと考えられる。また、言語の仕組みは認知の構造を制限しているとも言えよう。