従来、脳のなかでは、「言語」と「利き手」は関係しているといわれていた。脳の、言語をつかさどる領域は、普通(右利きの95%以上)は左脳の大脳皮質にあり言語野と呼ばれる。病気や事故で左脳に障害が加わると、言語失調(失語症)と右手まひを引き起こすことがある。ただし、これは左利きの人に対称的にあてはまるわけではなく、左利きでも左脳が言語の機能をもつ場合が多い。脳内の言語関連を扱う学問は神経言語学(neurolinguistics)で、困難な問題に取り組んでいる。成人が新しい言語を学習しにくいのは、加齢とともに、脳内の神経繊維が脂肪質(ミエリン)で覆われ、母語のルートが固まり、新しい言語の経路が開設困難になると考えられる。また、言語の部分(文法、文章、単語、アクセントなど)が言語野のどこで機能するかといった「言語地図」の研究もなされており、成果が大いに期待される。