人間が母語を自由に使用できる権利。同時に、多言語社会で言語少数者が、現地の国語や公用語を十分に学ぶ機会の保障。少数言語を保護し、言語差別(linguicism)を否定する考え方。言語的人権は国連憲章(1945年)や「世界人権宣言」(48年)にはっきりと示されているが、90年代になって大きな動きになってきた。それは国連などの国際機関が国際条約の形で各国に批准を求め、その順守が民主主義国としての人権先進国という評価につながるようになったからである。国連が採択した「児童の権利に関する条約」(89年)、「移住労働者とその家族の人権保護条約」(90年)、「マイノリティー権利宣言」(92年)などは、言語的人権の確立を強く求めている。