どの言語にもあいまいな表現というものがある。例えば、はっきり言うと相手を傷つけてしまうと思い、それとなく相手に察してもらおうとするのである。「映画に行かない」といった誘いに、いいか悪いか判断がつかないときに「びみょう(微妙)」と答える人が、16~19歳で 96.3%、全体でも57.8%になる。高年齢層にもこうした用法が浸透していることがうかがわれる(「平成16年度国語に関する世論調査」)。これははっきりと拒否を表現していないのだが、相手にその意図を察してもらいたいむねを伝えているのだろう。行きたくはないが、相手を傷つけたくはないという揺れる心の内を明かすことで、相手の理解を得ようとする気持ちをいう。「今度の日曜日に遊びに行かない」という誘いに、「日曜日はちよっと」とことばを濁す言い方もよくある。