アイヌは少数民族で、有史以前から、極東ロシアや日本の北方に住んでいた。彼らの起源は定かではなく、アイヌ語は知られている他のどの言語とも関連が見つかっていない。現在、アイヌ語の母語話者はきわめて少なく、ユネスコ(国連教育科学文化機関)はこれを絶滅の危機にある言語の部類に入れている。ただし、見方によっては、アイヌ語は現在ルネサンス(復興)を迎えているともいえる。日本では、アイヌは「固有の言語、宗教、文化をもつ先住民」と認識され、北海道ではアイヌ語教室が各地で開設されており、アイヌ民族にかぎらず学習者が増えている。ラジオのアイヌ語講座もある。アイヌ語研究も活発になり、入門書、辞書、解説書なども各種出版されている。関東の大学でも、アイヌ語講座を開講するところがある。アイヌ語のカナ表記は、パソコンでも取り扱いが可能になっている。ある言語の“死”は、母語話者の消滅と同一視できない。アイヌ語は北海道の地名に使われており、札幌、苫小牧、稚内、知床、富良野、室蘭などと、たくさんある。