文化庁が国語施策の参考にするために、平成7(1995)年度から毎年実施している世論調査。平成20(2008)年度の調査(09年公表)では、日本語を大切にしているかといった国語に関する一般の人々の意識を調べるとともに、カタカナ語の認知度・理解度・使用度や慣用句の言い方・意味について調べた。「日本語を大切にしているか」では、大切にしていると思う人は76.7%に達し、以前の調査時よりも8ポイント増加している。「美しい日本語というものがあると思うか」では、9割近くが「あると思う」と答えている。あると思う人に、「美しい日本語とはどのような言葉か」と尋ねると、「思いやりのある言葉」(62.5%)、「あいさつの言葉」(47.4%)、「控え目で謙虚な言葉」(40.0%)などがあがった。また、「言葉の乱れかどうか」について、「来れる」(正用は来られる)などの是非を聞いた。「来れる」を乱れと思う人は少なく(23.7%)、「言葉の変化」と思う人は41.0%、「そういう言い方をしても構わない」と言う人は26.9%であった。そして、カタカナ語の認知度(聞いたこと、または見たことがある)を聞くと、サンプル、ドキュメント、リフレッシュ、パフォーマンス、アクセス、バリアフリーなどは高く、インキュベーション、キャピタルゲイン、ジェンダー、スクリーニング、インフォームド・コンセントなどは低かった。さらに、慣用句の認識と使用については、本来の「采配を振る」を「采配を振るう」という人のほうが多かった。慣用句の意味については、「手をこまねく」「時を分かたず」「破天荒」「御の字」「敷居が高い」などを正しく解釈する人はおしなべて少なかった。日本語を大切にするにしても、日本語はさまざまに変化しているのである。