日本人の国語能力が低下しているといわれ、その向上をはかる方策がいろいろと議論されている。文部科学省の諮問機関・文化審議会は2004年に「これからの時代に求められる国語力について」という答申を発表。それは、国語力を、考える力、感じる力、想像する力、表す力の中核と位置づけ、「自ら本に手を伸ばす子供を育てる」ことを大きな目標とする。そのために、「国語教育」と「読書活動」の重要性を強調する。国語教育は学校だけでなく社会全体の課題ととらえ、「言葉への信頼を教え、情緒力、論理的思考力、語彙(ごい)力の育成」を重視する。学校では、国語教育が学校教育の中核であるとして、小学校の段階で、あらゆる知的活動の基礎となる国語力を増進させるために、国語の時間を大幅に増やし、小学校6年生で振り仮名を使っても常用漢字の大体が読めるようにするといった提案がある。読書活動にも同等の焦点が当てられている。ただし、現代社会では、他人の多様な価値観を理解し、自分の考えを合理的に説明する言語運用能力が求められている。だから、表現能力を十分に訓練する必要がある。お互いが相補的なコミュニケーション能力をもっていれば、だれも簡単にはキレはしない。