人名に使える漢字。戸籍法で子の名前は「常用平易」な字を用いるよう制限されており、具体的には常用漢字1945字と人名用漢字287字(2004年7月末時)である。出生届で子どもの名前がこれらにないと、それは受理されない。不受理処分が原因で親と行政とでトラブルになることもある。自治体が対処のため、各地の法務局に追加を要望した漢字は1000字にもなる。法務省法制審議会はこれを受けて04年6月に、578字の追加案を発表した。この選定では、「常用平易」を基準に書籍、雑誌に出てくる漢字のデータベースのなかから、出現頻度で選んだ。このために、「糞」「屍」「呪」「「癌」「姦」のような名前にふさわしくない漢字も含まれており、これらに世論の批判が集中した。法務省は市民の意見をインターネットで受け付け、最終案を同年9月に提示した。漢字は表意文字として、情報量が多く、意味の透明度は高いし、イメージも大きくふくらむ。親は子どもにいろいろな思いを込めて命名する。新旧字体(栄・榮)も含めて、市民がなるべく自由に選択できるようにするのが望ましい。