文化庁が1995年度(平成7年)から毎年実施している、日本人の国語に関する意識や理解の現状調査。国語施策の参考と、国民の国語への興味・関心の喚起が目的で、日本人の言語生活の実態がとらえられており興味深い。2011年度(平成23)の調査では、携帯電話や電子メールなどの普及により、「漢字を正確に書く力が衰えた」人が66.5%、「手紙やはがきは余り利用しなくなった」人が57.2%との回答があった。「手で字を書くことが面倒くさく感じるようになった」人も42.0%いた。漢字の読み方では、「他人事」を本来の「ひとごと」と読む人(30.4%)は、「たにんごと」と読む人(54.2%)より少なかった。「一段落」は本来の「いちだんらく」と読む人(53.9%)と、「ひとだんらく」と読む人(37.5%)が接近しつつある。また、「本心でない上辺だけの巧みな言葉」を本来の「舌先三寸」という人は23.3%、「口先三寸」と答えた人が56.7%もいた。「快く承諾すること」も本来の「二つ返事」という人は42.9%、「一つ返事」と答えた人が46.4%と多かった。慣用句の使い方では、「うがった見方をする」「にやける」「失笑する」を、本来の意味である「物事の本質をとらえた見方」「なよなよとしている」「こらえきれず吹き出して笑う」として使う人は、それぞれ26.4%、14.7%、27.7%と3割を切っている。