2010年代になって日本の産・学・官が推進している人材育成計画。同年、経済産業省が主管したグローバル人材育成委員会の報告書では、日本の大学や企業は世界のグローバル化のなかで危機的状況を認識しておらず、このままではガラパゴス化への道をたどると警鐘を鳴らした。その後12年、内閣府国家戦略室は「グローバル人材育成戦略」を公表し、グローバル人材の要素として、(1)語学力・コミュニケーション能力、(2)主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感、(3)異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー、をあげた。さらに、グローバル人材の外国語能力水準を次の5段階で示した。すなわち、(1) 海外旅行会話レベル、(2) 日常生活会話レベル、(3) 業務上の文書・会話レベル、(4) 二者間折衝・交渉レベル、(5) 多数者間折衝・交渉レベル、である。 企業アンケートによれば、グローバル人材と呼べるレベル、つまり(3)(4)(5)にあたるのは、12年時点で約168万人程度。さらに、事業拡大のためには17年時点で411万人程度が必要と推計している。これに呼応し文部科学省は、12年に「大学改革実行プラン」を示し、グローバル人材育成推進事業を本格化させている。そのなかの国際化拠点整備事業(グローバル30)では国内拠点として13大学を採択。各大学では、支援を受け、卒業時の外国語力スタンダード(TOEFL iBT80点など)、外国人留学生と日本人留学生の増大、外国語による授業の倍増などの課題に取り組んでいる。