実際の音や様態を心象模写し、言葉にした語句で、擬音語、擬態語ともいう。「せみがじーじーと鳴く」「雨がしとしとと降る」「さめざめと泣く」など、その多くは2文字を繰り返して、4文字(拍)の形をとっている。「もたもた」「どきどき」「いじいじ」「こせこせ」「せかせか」「じめじめ」「さばさば」「ぬけぬけ」など日本語にはこれが実に多い。このほかに、「ちゃっかり」「おっとり」「ちゃらんぽらん」「まったり」などがあり、日本人の表象経験のたまものといえる。これらは他の言語に翻訳しにくい側面がある。海外で病状を伝えるときに、胃が「しくしく」「きりきり」「むかむか」「ちくちく」することを、どういったらよいのか、専門の医療通訳にとっても難問になっている。「きりきり痛む」は「have a sharp pain」のことと思われるが、様々なオノマトペについて、専門家は次のような工夫をしている。「a spasmodic stomachache」(発作的な、胃痛)、「a splitting headache」(割れるような、頭痛)、「a sharp toothache」(鋭い、歯痛)、「a stabbing abdominal pain」(刃物で刺されたような、腹痛)。このように、他の言語と比較すると、日本語がもつ特徴が浮かび上がってくる。