観客を笑わせるおかしなシチュエーション、しぐさ、せりふを盛り込んだ映画。無声映画時代は、理屈ぬきでひたすら破壊、逃走、追跡を展開するスラプスティック・コメディー(slapstick comedy)が中心だった。人間関係が生み出す、そこはかとないおかしさを主眼にしたのがシチュエーション・コメディー(situation comedy)で、「男はつらいよ」シリーズ(第1作1969年)が代表作。男女の恋の顛末をコミカルに描くのが「恋人たちの予感」(89年)に代表されるロマンティック・コメディー(romantic comedy)。「博士の異常な愛情」(63年)に代表されるように、ダークで不条理な状況を笑いで風刺したのがブラック・コメディー(black comedy)。