ここ10年、日本の映画興行をリードしてきたシネコン(→「シネマコンプレックス」)だが、飽和状態に近く採算割れのところも出ている。これまでシネコンの多くは郊外に建造されてきたが、近年は都市の繁華街にオープンするケースが増えている。既存の映画館が老朽化して建て替えの時期にあたり、郊外型シネコンに奪われた観客を呼び戻すため、外装やインテリアを高級なものにして差別化を図っている。その象徴的なケースが2007年2月に東京の新宿駅東口にオープンした新宿バルト9で、計9スクリーン(全1842席)を擁し、全館にデジタル映写機を導入した。東映系と東宝系のシネコンが手を組んでの共同経営だ。そこから300m離れた場所に松竹が10スクリーンの新宿ピカデリーを08年7月にオープン。こちらも全スクリーンにデジタル映写機を設置。さらにプラチナルームとプラチナシートという豪華客席も設けている。またコマ劇場、新宿プラザ劇場が閉館した歌舞伎町も再開発構想をにらみながら、シネコン化も含めた計画を模索している。